2008/12/03 - Gibson Amphitheatre; Universal City, CA, US

 
 
今回の会場、Gibson Amphitheatreはユニバーサル・スタジオの敷地内にあるので、なんだかすべてが非日常で夢の続きみたいな感じ。この日の席は友人が入手してくれたもので、左よりだけどがステージが近くてなかなか良い席だった。それにこの会場はすり鉢状の立派なホールだからステージ全体が見やすく音も良い。
本日は定刻の8:15PMより15分ほど遅れてショウがスタート。客電が落ちて 'Ava Adore' のイントロが流れ、腕の部分がモノトーンのシマシマになっている黒のロングコートを着てジャックランタンを左手に持ったBillyが、両脇に4,5歳くらいのかわいらしい男の子と女の子を引き連れて独特のダンススタイルで登場し、ステージをウロウロしながらデジタルサウンドでアレンジされたAva Adoreを歌った。ちょっと遅いハロウーンという感じだけど、Billyがランタンの中からラメをふわっとふりまくと、ここからSmashing Pumpkinsの魔法がスタートという感じで会場は一気に盛り上がった。
昨日と同じようにスタッフがさっと出てきてBillyのコートを脱がせると、彼は胸元に蜘蛛のイラストの入った黒いロングTシャツ×黒のスカート姿に変身した。この日は黒の日で、Gingerのチュチュみたいな衣装も黒で統一されていた。2曲目にいきなり 'Cupid de Locke' をプレイ。可愛くて好きな曲だけど、すごく意外な選曲だと思った。BillyとGingerのツインヴォーカルという感じで楽しめて、イエローの照明もキラキラと曲にマッチして素敵で、ラストのギターの音がいい感じに哀愁を帯びていた。で、このキラキラした雰囲気をそのまま引き継いで '1979' がスタート。イントロが流れたとたんに場内大歓声。ブルーの水玉模様のくるくる回る照明も美しく、1979のPVに出てくる夜のプールの中にいるみたいな気持ちになった。途中、ロボットダンスみたいなのをしているBillyには笑ってしまったが、どうしてもこの曲を聴くと、メロンコリーがリリースされた当時のことを思い出したりして、懐かしい気持ちになってしまう。
ここからアコギのセット。'99 Floors' はまだ正式にリリースされていない曲だが、昨年のフィルモア公演以来プレイされているのを見ると、Billyのお気に入りの曲なのかなと思う。とても優しい印象の曲で、Billyの吹くハーモニカがまたすばらしく、さらに今回のツアーでは後半にヴァイオリンや管楽器のサウンドも加わってより深みのある1曲になっていた。続いて 'Owata' という今回のツアーで披露され始めた新曲をプレイ。とても軽快でさわやかな1曲で、フレーズも覚えやすいから曲を知らなくても楽しい気分にさせてもらえちゃう感じ。そしてアメリカン・ゴシックから 'Sunkissed'をプレイ。 G.L.O.W.みたいな楽曲をやる一方で99 FloorsやSunkissed みたいな曲を美しくプレイしちゃうんだからまー、ほんとに懐が深いというかSmashing Pumpkinsは一筋縄じゃいかないな。
で、再びエレキのセットへ。暗くて一瞬シーンとした会場に静かな 'Soma' のイントロ。情緒たっぷりで、クライマックスに向かってどんどん盛り上がって行くこの曲の構成のすばらしさを再確認。ほんとに、Billyのギタープレイがすばらしく、音もとてもクリアだったから鳥肌が立ったくらい。このあとは立て続けに、 'Cherub Rock'、'Zero' 、'Bodies' がプレイされオーディエンスも大盛り上がり。'Zero' なんて本当に切れ味が良くて楽しかったし、'Bodies' のしょっぱなのひと呼吸の所、あそこの一瞬の緊張感とかすごくかっこ良かった。
やっと一息ついてのBillyのMCは「どうも、Smashing Pumpkinsです。今夜は来てくれてありがとう」みたいなあっさりした感じだったけど、今日のオーディエンスの反応の良さに満足しているよう。で、「ちょっと落ち着いて、アルバム・アドアからCrestfallen」と曲紹介して 'Crestfallen' をしっとりとプレイ。続いてきれいなブルーの水玉の照明の下で披露されたのが ' I of the Mourning' 。この曲には雨のイメージがあるんだけど、ブルーの水玉の照明がまさにそんな感じで照明の雰囲気がすごく合っていた。ギターの歪んだサウンドも哀愁を帯びててすっごくよくて、この曲はハードな曲じゃないんだけど、ラストのJeffとのギター共演がすばらしく、2人のプレイを存分に堪能できるアレンジだった。で、次に今回のツアーからプレイされている新曲の 'A Song for a Son' をプレイ。ちょっと暗めの曲で個人的にあまり好きなタイプの曲じゃないんだけど、歌詞を聴いていると兵役についてる子をもつ親の心情だったりするのかなと、少しばかりしんみり。
再びMCが入り、Billyが「みんな大丈夫?」「新曲は聴いた?最近は何でもYou Tubeで曲が聴けるね」「次の曲もYou Tubeで見つかると思うけど、ステーヴン・ニックスのね」と言うとオーディエンスから大歓声。BillyとJeffがステージに残り 'Landslide' をプレイした。もちろんみんな大合唱!曲が終わるとBillyは「ありがとう、すごく美しくて、すばらしい曲だよね」とコメントした。ほんとに素敵な曲です。で、そのままステージに残ったBillyが「次の曲は、自分について書いた曲で...まぁいいや、とにかく聴いて」みたいなコメントをしながら 'Disarm' のイントロを奏でると、再びオーディエンスは大歓声。すばらしい。
 
    Disarmでもそうだったけど、今回のステージは管楽器やヴァイオリンを随所にうまく使っていて、すごく曲の奥行きが広がる感じ。この後の'Mellon Collie and the Infinite Sadness' から 'Galapogos' への流れも秀逸で、逆光のライトも相まってなんだかとても神々しかった。
ベースサウンドとギターのハウリングで静かに始まったのが 'Gossamer'。ギターサウンドがクリアでそしてヘヴィーで、まさに今夜のショウの肝という感じ。ゲスト・ギタリストにGeorge Lynch(Dokkenのギタリスト)が登場し、厚みを増したギターサウンドはもう音の洪水で、会場はプレイヤーにとってもオーディエンスにとっても気持ちいい空間になった。曲の終わりにBillyがゲストのGeorgeを紹介し、彼がステージをさった後、管楽器のイントロで始まったのが、'As Rome Burns' というハ−ドな1曲。この曲も今回のツアーから披露され始めた新曲なのだけれど、すごくハードなPumpkinsらしい尖った曲で、今後のショウでもきっと目玉の曲になっていくだろうと思った。で、次にプレイされたのが、まったくなんの曲かわからないアレンジになっていたサイモン&ガーファンクルのカヴァー' The Sounds of Silence' だったのだが、とにかく恐ろしくヘヴィーにBilly Corgan味に味付けされていたので、良く知っている曲であるにも関わらず、自分も含めオーディエンスはあっけにとられていた。続く ' Li'l Red Riding Hood' もカヴァー曲らしいのだが、ギターのキレが良く、BillyとJeffのテクニックのすばらしさが際立っていてパワー全開。今回のショウはBillyのギタープレイヤーとしての才能が溢れ出ていて、非常に見応えのあるステージ構成になっていたと思う。
独特のパーカッションサウンドで始まったのが 'The March Hare' という新曲。これも今回のツアーから披露されはじめたようなので、今後何らかの形でリリースされるのかな。ちょっとサイケデリックな印象の曲で、ヴァイオリンの音とトランペットとエフェクターを効かせたギターサウンドが幻想的だった。で、間に 'Suffer' を挟んで、再びパーカッションサウンドでThe March Hareに曲が戻ったのだが、今度は一変してサンバ風になって明るい雰囲気に。Billyはシルクハットをかぶりタンバリンを持って、ステージにいるメンバーと行進したりして、なんかちょっとドリフの髭ダンスを思い出した。(どうでもよい話だがBillyの衣装のスカートの下にはいていたのがシマシマ模様のスパッツだったので笑ってしまった。どんだけボーダー好きなんだよと。)Jimmyもロックバンドのステージングとは全く違う、でもすばらしいドラムを披露してくれた。本編ラストは 'Age of Innocence' で再びクールにステージは終了。ステージに置いていかれたBillyのギターがしばらくフィードバック音を響かせていた。

アンプの上に置かれたままの、オレンジ色に光ってニヤっと笑ってるジャックランタンを見ながらアンコールの拍手を贈っていると再びメンバーがステージに登場。
アンコール1曲目はアコギバージョンの 'That's the Way (My Love Is)' だった。Jimmyはギターアンプの上に座ってタンバリンをたたいている。サビの所のGingerとバイオリニストの女性のコーラスが素敵で、すごく美しくアレンジされていた。曲が終わるとBillyは「ありがとう」「1979またやる?さっきやったけど笑。じゃ、演奏するよまた来年ね」「今日は来てくれてありがとう。楽しんでくれた?」と言う感じのMCをし、再びゲストギタリストのGeorge Lynchをステージに招いてラストの ' I Am One Pt. 2' をプレイした。サイケデリックにアレンジされたこの曲のギタープレイは圧巻の一言で、3人のギタリスト共演も見応えたっぷりだった。今回のショウは、Billyのバンドとしてのこだわり、どうステージを創りあげたいのかが強く感じられ、非常に興味深いものだった。バンド内でメンバーがお互いを敬って大切にしているのだろうなとも感じさてくれた。次にショウが見られるのはいつになるかわからないけど、迷わずに、Billyの思うやり方でずっとすばらしいバンドでいてほしいと思う。


この日はカメラの電池切れで写真を撮ることができませんでした。残念。で、オフィシャルサイトで紹介されていたGeorge Lynch氏がゲスト参加した際の映像がこちら↓

     
 
   
 
Setlist: 'White Crosses'
* Ava Adore
* Cupid de Locke
* 1979
* 99 Floors
* Owata
* Sunkissed
* Soma
* Cherub Rock
* Zero
* Bodies
* Crestfallen
* I of the Mourning
* A Song for a Son
* Landslide [Nicks]
* Disarm
* Mellon Collie and the Infinite Sadness
* Galapogos
* Gossamer (with George Lynch)
* As Rome Burns
* The Sounds of Silence [Simon]
> Li'l Red Riding Hood [Blackwell]
* The March Hare
> Suffer
* Age of Innocence

Encore:
* That's the Way (My Love Is)
* I Am One Pt. 2 (with George Lynch)
(SPFCサイトより)
 
     

 
  こぼれ話

ホテルに戻ってラストにプレイされた ' I Am One Pt. 2' の歌詞を読んだときに、Billyの意思というか彼がどうしたいかの片鱗を見たような気がしました。

like the sun, yeah, i am one
raising forth when i'm done
so high in the sky

and we'd say what we'd say
and we'd do as we please
and we'd break every rule
on our knees

like the sun, yeah, i am one
raising forth when i'm done
what you wait for in the sky, high, up high

and we'd break every rule
and we'd do as we please
and we'd take what we want
on our knees
 
 

ちなみに、この日の午後は今回の LA旅行のもう1つ目的地、RockwalkへBillyとJimmyの手形を見に行ってきました。その時の様子はコチラ


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