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■LA公演後記
今回のツアーはThe Smashing Pumpkinsの結成20周年ツアーということで、バンドのメンバーたちもかなり力を入れて準備をしていたようだ。'Black Sunshine' , 'White Crosses'と題された2晩の公演が1セットになった特別なショウになるとのことで、私もとても楽しみにしていたのだが、ツアーが始まって耳に入るステージ評がすこぶる悪い。「いやいや、それは一部の評論家が言ってるだけでしょ?」と思ったら、オーディエンスからも曲がマニアックすぎるなどと不満の声が上がっていたり、高めのチケット代のせいもあってかチケットの売れ行きが悪いとか、とにかくあまり良い話が聞こえてこなかった。さらにそういう状況下にあるせいで、Billy Corganの元気もないという話。
でも、実際にショウに行ってみたら、彼らは非常にクオリティーの高いステージを見せてくれて、それは十分に満足のできるものだった。The Smashing Pumpkinsは終わっているどころか、まだまだ魅力的なバンドなんだから、批評家の意見なんて放っておけばいい!と心から思った。GingerやJeffにもだんだんと愛着が湧いてきた所だしね。(資金繰りに関わるリアルな問題があるのは事実だろうけど...。)
で、今回、いつもファンサービスの良いBillyが、ファンと握手をしたがらないという話を耳にしていたのだが、その理由の1つには、彼が思い描いていたファンとの関係が、実際は理想通りにいかなかったことにあったようだった。LA公演前のファンとの懇談で、Billyは「バンドが誰かに批判されても、それに対してファンが抗議すらしてくれない」「今のファンはヒット曲だけダウンロードしてそれを聴いているだけ」「自分たちはジュークボックスじゃない」「かつてのファンが懐かしい」等と不満を語っていたそう。これじゃファンさえも敵に廻しそうだ。でも一方で「ステージを楽しめてなかったら申し訳ない」という発言も。
レコード会社の後ろ盾も無い、ある種裸一貫の状態では、こういった弱気な発言をしてしまうの仕方がないのかもしれないが、自分はやっぱり複雑な気持ちになった。Billyが音楽に対してまだまだピュアな部分を持ち続けているんだなと思ったのと同時に、普通にやってればもっとうまく行くのにどうしてこうなんだろうという気持ち。うまく言えないけど、辞めてしまったバンドのメンバーはもちろん、自分も含めPumpkinsを聴いていた同世代の人たちは、変わっていく環境に順応しそれぞれ成長しているのに、Billyだけが26歳位のままでいるんだなと思った。その一方で技術や知識を十分に身につけた41歳のBilly Corganも存在していて、そのBillyは、ヒット曲を立て続けにプレイすればコンサートが大盛況になることがわかっていたり、もっと楽にいろんなことがやれるのもわかっている。やりたいことと求められていることが一致しなくて、理想と現実の間で苦悩しているみたい...。音楽を通して自分をもっと理解し評価してもらいたいと思ってるのに、純粋にそれに没頭できないのはとても残念だしもったいない。でも雑音がどうしても気になってしまうのが彼なんだろうし、そういうBillyだから私も気になってしまうんだとも思うけど。
とにかく今回のLA2公演はすばらしいものだったし、ギタリストBilly Corganはよりパワーアップして本当に魅力的なので、しばらく表立った活動がないというのは本当に残念だ。もし日本でコンサートが実現したら日本のファンはきっとじっくり聴いて、見てくれると思うのでなんとか来日公演が実現しないかなぁと思う。
SPECIAL THANKS TO: The Smashing Pumpkins, Kiku, Nana
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