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今回の会場Fillmoreは日本でいうとZepp東京くらいの大きさ。とはいっても、フロアの後方と左サイドには大きなバーがあり、2階にはレストランもあってとてもゆったりとした印象で、日本の無機質なライヴ会場とは趣が全く違う。オーデイエンスの年齢は幅広くだけど、やはり30代が多そう。で圧倒的に殿方が多い。
前座のバンドのプレイが終わり、30分間のセットチェンジの後、ふわっと客電が落ちた。 気付けばフロアは満杯だった。
マーチのようなサウンドと共にメンバーがステージに登場。BCはアコギを持ち、首元にはハーモニカ。椅子に座って彼が譜面を見ながらプレイしたのは"99 Floors"という曲だった。初めて聴く曲で、ギターとハーモニカのイントロがさわやかな雰囲気のいい曲だ。こういう曲を1曲目に持ってくるのかと驚いた。曲が終わるとBCは立ち上がって両手を広げながら「僕達がスマッシング・パンプキンズです」と言ったのだが、もちろんその一言で自分の胸がいっぱいになったのは言うまでもない。そして始まったのがNew Albumuからの"That's the Way (My Love Is) "。アルバムの中ではバラードのような位置付けになっているこの曲は、このショウではテンポのよい掴みの1曲という扱いになっていた。この曲、新作の中でかなり好きなんだよね。BCはアルバムよりキーを低く歌っているので最初少し違和感があったのだが、これもライヴならではかなと思う。サポートメンバーのリサのキーボードも幻想的でなかなかいい。(会場の音響が少し悪くて高音がビリビリして聴きづらいのが難点だったが)
BCは過去のショウでもそうだったように、ほぼ1曲ごとにギターを持ち替えてのプレイ。"Superchrist "というこれまた初聴の曲が披露されたのだが、JCのドラムも楽しめるし、BCと新ギタリストのジェフとのギターの掛け合いがとても魅力的な曲だった。BCは時折こぶしを突き出してみたりとショウが始まって3曲目にして既にプレイする気満々なのがわかる。続けて披露されたのも新作からの"Doomsday Clock"。ファンにとっても既に盛り上がれる1曲になっていた。
一旦会場が静かになって鳴り響いたのはアメリカで最も人気があると言っても過言じゃない"Today"のイントロ。もちろん皆で大合唱。盛り上がらないわけがない。で、続いて"Starz"。アルバムのスペーシーな感じよりもさらにロックなアレンジになっていた。ちょっとしたジミーの見せ場もある。この後は、"Zero "、"Bullet with Butterfly Wings"と往年の名曲が続き、会場のボルテージが一気に上がる。Bulletでのジンジャーのベースはかなりクールでかっこ良かった。あのキュートさからは想像できないようなヘヴィなベース。
「サンキュー、サンキュー」というBCのMCが入り一旦中座し、「なんかちょっとノドがかれてる」とかなんとか言って水を飲んでからスタートしたのが、幻想的なギターのイントロが最高の"Starla"だった。この曲ホントに大好き。曲の後半はもうギターサウンドの洪水と言う感じで最高に気持ち良かった。ジェフという、プレーヤーとして上々のパートナーを得たBCは、もう自分の弾きたいだけ、やりたいだけギターを弾いていると言う感じだ。オーディエンスも圧倒されている。この空気の中、間髪入れずに始まったのが"United States "。フロアに拳が上がり、後半のインストのところではダダダダダン『オーッ』って感じで合の手が入るほどの盛り上がり。こういうのこれまでのPumpkinsでは見た事ない。なんか凄い。 ジェフはジェイムズ(イハ)にくらべると、つやっぽさというか華やかさはないけど、プレーヤーとしてはかなりの実力者のようで、だからビリーとのギターの掛け合いは本当に楽しそうで見ているこちらもうれしくなる。(以前のステージではBCはジェイムズのことを心配そうに時には睨むように見ていたりしたから)もちろん、ジェイムズのいたPumpkinsに郷愁がないと言うわけではないけれど、このショウを見ていたら私は今のPumpkinsをそのまま素直に受け入れざるを得なくなった。私たちの中にはPumpkinsの曲でスイッチが入ってしまう何かが組み込まれているらしい。思い出とか記憶とかいろいろなものの断片。
ジャラーンというイントロがかき鳴らされ"Disarm"がスタート。再び大合唱。BCが「金曜の夜だからね、長くやるよ」みたいなことを言ってオーディエンスを湧かせる。その次に披露されたのは"Mama"そしてBCが一人ステージに残って"I Don't Mind"という曲をプレイ。これらは6月のショウから披露されている新曲らしく、もちろん自分は初聴。どちらもアコギのかわいらしい印象の曲だった。(右の欄へつづく→)
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で、その後、気分的なものなのか会場の誰かに歌ったのか"Happy Birthday"を歌うBC。これはもちろん日本人でも知ってるアノ歌。オーディエンスも大合唱。でもDearの後が適当でハミングだったような気がする。
「若い頃の曲をやるよ」と言って始まったのが"Daydream"。これは確かダーシーが歌ってた曲だと思うんだけど、BCの声で聴くとまた違った感じでなんか新鮮。その後もう1曲アコギで"The Crying Tree of Mercury"を披露。これはマシーナの曲だけどアコギのせいかアレンジが違うんで一瞬気づかなかった。(気づいたところでタイトルをすっかり忘れていた。ほんとに、なんて懐の深いバンドなんだろう、このレパートリーの多さ!有名どころの曲もまだまだ残ってるしおそるべし。)
キーボーディストのリサにスポットライトがあたって幻想的なスタートとなる"To Sheila"それから"Tonight, Tonight"。BCが時折ジンジャーとアイコンタクトをとりあったりして微笑ましい。続いて披露された"Tarantula"では、イントロが流れただけでフロアはかなりの盛り上がり。もしかしたら一番の盛り上がりかも?すっかりファンに定着しているし、古い曲だけじゃなくて、最新アルバムからの曲でこうやって楽しめるのはとてもすばらしい事だと思った。で、タランチュラの後は聴けてうれしい限りの"Hummer"それから、BCのギタープレ−たっぷりで自分も大好きな"Drown"へとつづく。とにかくステージが濃くてギターがとにかくすごくて見応えたっぷりだ。
ところで、アメリカのオーディエンスはショウをふらっと抜けてバーに行ったり、ビール片手に長いギタープレイを鑑賞したりと日本とはショウの楽しみ方がまったく違う。それもあってか、プレイヤー側の選択がとても自由な気がする。こんな風にいつ終わるのかわからないような長いセットのショウが出来るのはこちらのエンターテインメントに対するものの考え方の違いがあるみたいだ。日本みたいに7時にスタートしてだいたい9時にショウが終わる算段になっているのとは大違いなのがちょっとうらやましい。(逆に日本のオーディエンスは1曲1曲じっくり聴き込むというよさもあるんだけれどもね)
で、この後は"Glass and the Ghost Children"を挟んで"Heavy Metal Machine"がプレイされたんだけど、Heavy〜もアレンジが全くかえられていてなかなか気づけなかった。(イントロ聴いたときはロックオンかと思ったし)過去のショウでもそうだったけれど、彼らのプレイは原曲がわからないくらいアレンジが違うっていうことが多々あってほんとに驚かされる。ステージ本編は"Neverlost"、"1979"、"Cherub Rock"で終了。この時点で深夜0時はとっくにすぎていた。さすがに疲れたけど、もちろんアンコールの拍手は休まない。
オーディエンスをあまり待たせることなく、アンコールに応えてメンバーが再登場。1回目のアンコールでは"Untitled"をさらっとプレイして彼らはステージを去っていった。で、再びアンコールの拍手と足踏と声援。明日はお休みだからみんなもまだまだ気合い十分。
ほどなくしてメンバーが再々登場。またまた新曲の"No Surrender"(スロウなテンポの曲。この曲の後のジミーのドラムソロがすごかった)と、オーラスに"Gossamer"をプレイ。自分はもちろんどちらも初聴。たくさん曲があるのに、しかもアンコールなのに全くの新曲をプレイするのがBCらしい。とにかく見に来てよかったな。明日のショウも楽しみだ。
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