●October 31, 2000/マンチェスター

 
↑街中で見かけたポスター
この日の朝は、かおるさんチームと連絡を取り合いグラスゴーの空港で合流。飛行機(というかプロペラ機!)に乗り込み、マンチェスターに移動した。マンチェスターといえばサッカーで有名だが、飛行機から下を眺めるとあちこちに競技場のようなものがあるのが見える。やっぱりねー。
ところで、私はマンチェスターに来ることをとても楽しみにしていた。マンチェスターは私の好きなバンドの1つである『the Stone Roses』を産み出した街であり、また多くのバンドがここを拠点に飛躍している街。音楽だけに限らず、多くのアーティストが輩出されていることでも有名だ。そんな訳で音楽や芸術との関わりが深いこの街がどんなところなのかとても興味があった。
マンチェスターで一番大きい「ピカデリー駅」に到着し外に出てみると、思っていたイメージとはまったく違った印象を受けた。大きな街であるが、スコットランドで感じたような歴史的空気感は一切感じられないし、かといって新しく整備・開発された都市というわけでもなかった。観光客らしき人間を見かけることは殆どなく、至る所で工事が行われているという、一見がさつな印象の街だった。けれども私はこういう風景を見、空気を肌で感じて、ここが商業・工業で発展した労働者の街であることを知ると同時に、ここで産まれた音楽や芸術が労働者階級から産まれた力強いものであることを知った。

話は全く変わるが、イギリスの主食はイモ(ポテト)である。何の料理にもお皿の脇にはイモがついている。それはふかしたものだったり揚げたものだったりするが、イモには代わりはない。イングリッシュ・ブレックファーストはとてもおいしかったが、ご当地料理でおいしいと思ったのはこの朝食のみ(笑)そんな訳で、朝食が1日の主食と化していた私達は、渡英して4日目となるこの日、とにかく米が恋しくてたまらなくなった。ホテルからそう遠くない所に中華街があることを知り、とにもかくにもそこのレストランに入ることにする。店内のへんてこなアジアンの雰囲気がなんだかとても愛おしく、久しぶりのお箸に喜んだり(箸袋の裏にはイラスト付きでお箸の使い方が描かれていた)、チャーハンの米に喜んだり・・・今思い起こせばたいしておいしい店ではなかったかもしれないが、その時は本当に幸せだった。これでエネルギーも満タンです。本日のショウも存分に楽しむぞ!

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ツアーバスが出発するのを見届けた後、私達もバスで来た道を戻った。小腹が空いていたのでホテル近くにあったコンビニのような店に入り、スナック菓子や飲み物を購入したのだが、そこで面白い光景を目にすることになる。昨日までスコットランドにいた私達の財布には「スコットランドポンド」が入っており、もちろん私は何の気なしにその紙幣を差し出した。・・・するとその店の男性店員は『スコットランドポンド・・・』とつぶやき、少しイヤそうな顔をしてレジにお金を入れた。しかもお札を普通とは別な場所(日本のレジの場合の1万円みたいに)に収納した。もちろんちゃんとおつりももらえたし、イギリス全土できちんと使える紙幣なのだが、スコットランドのお金というだけでこんな反応をされるとは思いもよらなかった。後で聞いた話によると、お店によってはスコットランドポンドでの支払いを拒否する所もあるそうで、同じ領土にありながらも、現在でもしこりが残っているのは事実のようだ。パンプキンズのツアーがなかったらなかなかスコットランドやマンチェスターにまで足をのばす機会はなかっただろうから、こんなふうにイギリスの暗い一面も知ることができ、勉強になったと思う。

     
 
『the Stone Roses』と『Primal Scream』 
上にも書き記した通り、『the Stone Roses』はマンチェスター出身のバンドである。で、そのローゼズに在籍していたベーシストのマニは、ローゼズの解散に伴い『Primal Scream』に加入した。
プライマル・スクリームのオリジナルメンバーはスコットランド・グラスゴー出身。マンチェスターはイングランド北部地方に属する為、歴史的な認識で考えると、マニは敵地のバンドに参加しているということになる。音楽には国境がないというけれど、こんなところでもそれを認識。ちょっとおもしろいです。