April 13, 2002 @Chicago Double Door

 
 
この日のショウを見た夜、私はThe Smashing Pumpkinsを思って泣いた。解散が発表された時はこんなに悲しい気持ちにはならなかったのに。ステージにジミーはいるけれど、ジェイムスもダーシーもメリッサもいない。当たり前のことなんだけど、なんか不思議だった。でもこう書くとZWANのショウが悪かったみたいだけど、そうじゃなくって、むしろその逆ですごくすごくよかったのだ。
23:00頃客電が落ち、メンバーがステージに登場。ギタリストのマットは赤いキャップにTシャツ&ジーンズがトレードマーク(?)のようで、思っていたよりも随分と長身な男性だった。マルチプレーヤーのデヴィッド(今回のショートツアーではギターを担当)はなんというか・・・立ち姿や表情、黒髪といいジェイムズをイメージさせるような人物だった。それから、黒の短パン姿でなんだかとてもご機嫌そうにジミーが現われ、そして一段と大きい歓声と共に、ビリーが登場した。彼は先程もかぶっていたグレーのキャスケットをかぶり、首にはえんじ色のマフラーを巻き、紫色っぽいニットのカットソーに黒のパンツという姿。最近のお気に入りの組み合わせなんだろうなと思った。(前回のショートツアーの時と違ってヒゲは生えてませんでした。残念)・・・この4人だけだけだとやっぱり(以下略)が、しかし今回のショウには助っ人ベーシストとしてA Perfect Circleの 紅一点・Paz嬢が参加しており、ステージに艶っぽさをだしてくれていた。彼女はメリッサの新バンド、Chelseaでもベーシストとして活躍しており、今後の活動にも注目したい人物だ。(右の欄へつづく→)

 
   
  Setlist - SPFCサイトより転載
01. Cast a Stone
02. Endless Summer
03. Settle Down
04. For Your Love
05. Yeah
06. To Wonder
07. The World Goes 'Round
08. A New Poetry
09. Lyric
10. Baby, Let's Rock
11. Love Lies in Ruin
12. Jesus [Lyte]
  > The Game of Love [Clint Ballard Jr.]
  > Exodus [Marley]
  > God's Gonna Set This World on Fire
Encore:
13. All Day and All of the Night [Kinks]
14. Dust My Broom
 
     
 
    曲名を知らないため、具体的な事が書けず非常に残念なのだが、ギタリストのマットはかなりの腕前の人物だと思った。とにかくビリーは彼を絶好のパートナーとしている様子で、2人はすばらしいコンビネーションを見せてくれた。歪み具合といい、その音はとにかく私好みだった。パンプキンズのステージでは1曲ごとチューニングが違うセットが多かったため、ビリーが曲毎にギターを掛け変える姿がよく見られたが、今回のショウではクリーム色の「フェンダー・ストラトキャスター」を軸に、「茶色のストラト」「ジャガー」を4・5曲おきに交換して使っており、マットも同様に2,3本のギター(たぶんギブソンのES335と金のレスポール・すみません、ビリーばかり見てたので、、、汗)を使用しているのみだった。まだパンプキンズに比べたら曲数も少ないだろうから、それは今後変わってくると思うけれど、今、彼等の音を出すための大切な相棒はこの数本のギター達なのだろう。また、全てのギターが使い込まれて色がハゲかかっているためか、ステージ上で自らチューニングし演奏する2人のギタリストの姿を見ていると - その円熟した演奏力とは反対に - 古いギターを大切に使っている初々しい新人バンドのような一面も感じさせられた。
それから、ベーシストのパズは本当に今回のみの助っ人なのか?と思わせるくらい、バンドにマッチしていた。ジミーとの息もピッタリのようで、時折お互い視線を合わせながら気持ちよさそうに演奏する姿が印象的。ビリーとのやり取りもとってもキュートで、彼女のベーシストとしての実力もさることながら、その人柄も魅力的で本当にファンになってしまった。ただ、この編成はどうもパンプキンズをイメージさせるからやっぱりよくないかもしれない。そんなことは私が心配する事じゃないんだけど…。
そして、ZWANのメンバーが発表された時から気になる人物だったデヴィッドは今日のステージを見ている限りでは非常に地味な存在だった。無口でシャイな彼を見ていると本当にジェイムズを思い出してしまう。けれどもこのなんとも地味な存在の彼こそが、このバンドのキーマンなのかもしれない。
アンコールの1曲目にはKINKSのカヴァー曲"All Day and All of the Night"を披露してくれた。(これはZWANの曲を知らない私でも歌える曲だったからインチキ英語で歌ってしまいました。)誰の選曲なのかわからないけれど、このところ60・70年代の曲のカヴァーを結構やっている様子。シンプルでポップなロックンロール、彼等は楽しい事をやろうとしてる。
とにかくビリーはこのバンドを凄く楽しんでる、それが強く伝わってくるショウだった。だからもう、パンプキンズのビリーはいない…そう思ったらやっぱり寂しくなってしまったけれど、 ZWANは想像以上にすばらしいバンドだった。なによりものびのびと楽しそうなビリー、明日のショウも楽しみだ。
     
 
  この日のこぼれ話

ショウが終わった後メンバーにあう機会に恵まれたのだが、みんな格別疲れた様子も見せず、非常にリラックスした雰囲気。マットとデヴィッドとパズの3人は非常に仲が良いらしく、3人でちょこんと並んで座ったり移動したりしていた。ジミーはというと、先程の短パン姿からスーツ姿着替えてビシっと決めていたが、なぜか意味もなく忙しそうだった。彼はJIROさんに気付くと『Hey! KIKU!!!』と大きな声をあげて喜んで歓迎のポーズ。面白いのはジミーに挨拶に来る人間には必ず「俺のサイトのWebmasterなんだ」とJIROさんを紹介していたことだった。(ジミーよ、JIROさんとこはオフィシャルなのかい? そんな訳でまだJIROさんのレポートを読んでいない方は是非ともチェックしてください。)そんなおもろいおっちゃんジミーとJIROさんの掛け合いをよそにボーッと椅子に座っていると、暗がりの中ビリーがサーッと登場した。例のキャスケットにマスラー姿…やっぱりお気に入りらしい。ところで、私はと言えば、挨拶しようと立ち上がったはいいけれどやっぱり硬直気味。そしてそんな私に向かって彼が開口一番発した言葉は「ショウはどうだった? よかった?」という問いだった。やっぱりパンプキンズのファンにどう思わるのかが凄く気になるみたいだ。が、例のごとく、緊張しっぱなしの自分は上手く答えられず、慌てて「グレート」という意味で親指を立てる事しかできなかった。けれども彼はその仕種を見届けると安心したように微笑んで、目の前の席にどさっと座り「元気だった?」と話し掛けてくれた。そうしているうちにも、ビリーの周りにはわらわらと沢山の人が集まってくる。その場には椅子に座っていた私の横に、ホストのようなポーズでJIROさんが座っていたのだが、なぜかその横に同じようなポーズでジミーも座っており、奇妙な円陣ができていた。ビリーの所にやって来た赤い帽子に赤い上着のどうみてもピザ屋のような風貌の男性が「ZWANのサウンドのココがすばらしかった」と熱心に話していたので、このオジサンはコアなファンなんだろうなぁと思いながらその様子を眺めていると、ジミーがなにかをJIROさんに耳打ちしている。ジミーの話によると、なんでもその男性は「パンプキンズのオリジナルベーシスト」なのだそうだ。その話を聞いて「ま、マジィ〜!」と大声を発した私を見て、ジミーは「そうなんだよ、俺は知ってるんだぜ」と言わんばかりの得意げな顔でニヤッとしたのがおかしかった。
ビリーが落ち着いたところで、ジミーがまたここでも「オレのサイトのウェブマスターなんだ」とJIROさんを紹介しはじめたのだが、ビリーは「知ってるよ!ジミー・チェンバーレンのNo.1ファンだろ」と言い、その後にすかさず「でもたった一人のファンなんだってことも知ってるよ〜」とジミーをからかった。それを受けて「そんなことないよ!」とオーバーアクションをとるジミー。2人のやりとりが凄くおかしくて自分も笑ってしまったが、こんなに良く笑ってそしてはしゃいでいるビリーを見たのは初めてだった。とにかく元気そうで楽しそう。バンドは今、凄くよい状態なんだろうな、そんなふうに思って帰路に着いた。
 
 

近すぎて手が届きそうです
メインのストラトキャスター
ジャガーです
これもストラト
デカイ2人