November 04, 2000 @London-Wembley Arena

 
 
 
↑会場内の配置図/赤丸が私のいた所
とうとうUK公演も最終日となった。入場口に向かいチケットを差し出すと、キラキラ光って綺麗だったスタンディングのチケットはそのまま黄色のリストバンド(下の写真の)と交換となってしまった。これ、日付けもアーティスト名も入っていないのでちょっと寂しい。(一応ウェンブリー・アリーナのロゴは入っているが…)そんなこんなでとりあえず中に入り、予定していた最前列を諦め、PAの前に陣取ることにした。ここはステ−ジ全体がとても良く見え、またPAの前だけあって音の伝わりもとても良かった。
ロンドン公演2日目となる為、本日は昨夜とは全く別なセット『The Everlasting Gaze』でスタートした。ステージに登場したビリーのオーラはすざまじく、彼のギターがぐいぐいバンドを引っぱっていく。しかし、それは殺伐としたものではなくて、バンドとしての楽しみを見つけだしているといった印象で、非常に引き締まって、それでいてとても温かいステージとなった。この日は『Bullet with Butterfly Wings』がオリジナルに近いアレンジになっており、いつものメドレー部分がカットされ、続く曲にはマシーナからの『The Sacred and Profane』が披露された。この曲は日本公演では披露されなかった曲で、UK公演でも初めてだと思う。非常に貴重な1曲だった。
新旧織り交ぜながら進んでいくステージ。この日の『Today』でも大合唱とともにあちこちにポツポツとライターの炎がゆれていた。スタンド席で見るのとまた違って、自分達までもがその灯に包まれているようでうれしかった。ビリーはおどけてキュアーの曲を演奏した後「ラストツアー」という言葉を口にしたが、そのことでひどく感傷的になるということもなく、そのまま自然に『This Time』が演奏された。日本公演でもそうだったように、やはりこの曲はファンへのメッセージなのだろう。そして彼等にとってとても大切な曲であるに違いない。
また、この日は『Drown』も披露された。いろいろな想い出が自然と脳裏に浮かんでくるような、なつかしく切ない曲だ。シングル曲でないが、パンプキンズの歴史の中で非常に重要な曲に位置付けられると思う。やはりイギリスでも人気があるらしく口ずさんでいる人が多かった。この曲の大きな見せ場は後半のビリーのギターにある。私は「もう二度とこのプレイを見ることは出来ないかもしれない」と、彼の表情や指の1本1本・・・なにもかも全てを見のがさないように、聴き逃さないようにとじっとステージを見つめていた。
本編ラストにはUKツアーでの最大の見せ場となっている『Porcelina of the Vast Oceans』が披露された。全てのエネルギーが注がれ、愛情に満ち溢れているような温かく美しい演奏だった。 この日のステージでビリー自身も「パンプキンズは愛されているんだ」ということを強く実感したのではないだろうか? 彼の晴々とした表情は、いろんなことが吹っ切れ、今ある全てを楽しみたいという感じだった。
アンコールではビリーとジェイムスが掛け合い漫才のように話すアットホームな場面もみられ、とにかく和やかでいい雰囲気。また、ピーター・ガブリエルのカヴァ−曲を披露している最中には、ビリーがやけに観客の右サイドに視線を送ったり、キメポーズをしているので「もしかして最前列にいる日本人軍団に?」(図の青丸の辺り)と思っていたのだが、公演後そのことをかおるさん達に聞いてみるとまさにその通りだったようで、私までうれしくなった。イギリス国外からも沢山のファンが来ていたから、彼はステージからそうやっていろんな国の人達にサインをおくっていたんだろうと思う。
そして、この素晴らしいステージは「僕達は決して離れちゃいけないんだ」というメッセ−ジとともに幕をおろした。
 
   
 
   
  Setlist
01. The Everlasting Gaze
02. Bullet with Butterfly Wings
03. The Sacred and Profane
04. Glass and the Ghost Children
05. Stand Inside Your Love
06. Cherub Rock
07. Blue Skies Bring Tears
08. Zero
09. Rock On [David Essex cover]
>> Heavy Metal Machine
10. To Sheila
11. Today
Boys Don't Cry [the Cure](tease)
12. This Time
13. Tonight, Tonight
14. Let Me Give the World to You
15. Drown
16. Porcelina of the Vast Oceans
>> Rocket(tease)
Encore :
17. Games Without Frontiers [Peter Gabriel cover]
Smoke on the Water [Deep Purple] (tease)
God Save the Queen [trad'l]
18. Ava Adore
 
     


 
  この日のこぼれ話

本当にありがたいことに、本日の公演後もメンバーと接触する機会に恵まれた。とはいっても、さすがにUKツアーの最終日というだけあってメンバーはそれぞれ沢山の人に囲まれている為、少々気後れしていた私は遠巻きに彼等を眺めていた。(今日もやっぱりサインをもらう物やカメラすら持って来ていないという・・・)昨夜とはうって変わって、Gジャンにジーンズというラフなスタイルのジェイムスはとにかくリラックスした様子で、その存在が目立たなくなるくらい周囲に溶け込んでいた。メリッサは黒のタンクトップに赤いチョーカーのコーディネイトがとってもキュートで、親し気にいろんな人たちと話をし写真やサインを引き受けている。ジャケット&シャツ&パンツとにかく全身黒で統一したスタイルのジミーもとても和やかな様子。やはり気前よく写真やサインを引き受けていた。ジミーは焚かれるフラッシュを「眩しい!」と言っていたようだ。→
  それからビリーは・・・そう、やはりフロントマンということで、とにかく沢山の人に囲まれて身動きがとれないようだった。今日は白いシャツに黒のパンツ姿、そしてその上に熊の毛みたいな茶色っぽい色のフェイクファー(らしい)コートを羽織っている。私は壁に寄り掛かり、そんな華やかな様子になんともいえない居心地の悪さを感じながら、半ばぼーっとした状態で彼を眺めていた。そうすること数分・・・すると、こちらの視線に気付いたビリーが大きく腕を上げ、手を振っている。私はハッと正気に返り、慌てて手を振りかえしたのだが、今度はビリーのその手が「おいで、おいで」に変わったのだった。「えっ、わ、わたし?」と恐れ多くも近付いていくと「今日も来てくれてありがとう」と一言。そして昨日渡したプレゼントのことを「美しくてとても気にいったよ」と言ってくれたのだった。わざわざこんな風にお礼を言ってくれるなんて、なんと律儀な人だろう。とにかくこういった心遣いに深く感動したし、彼のファンに対する優しさは本物だと思った。 軽く椅子に座った姿勢のビリーの目線は、立っている私の視線とちょうど同じぐらいの高さになり、多くを語らずとも、その美しい瞳が私をとても幸せな気持ちにしてくれた。