June 24, 2000 @広島厚生年金ホール

 
 
来日公演も本日で3回目。しかしながら、遥か東京から遠征してきたこともあって、とにかく期待と緊張感で胸がいっぱいだった。なにしろ今日の席は前から3列目という場所で、手を伸ばせばすぐにステージに届きそうなのだ。さらには広島駅に着いて草々に起った驚くべき偶然の出来事が、ますます私のボルテージをあげていた。しかしながら、私の気持とは反対に場内は意外と落ち着いて静か。1階はほぼ満席だが、2階には空席が目につく。また、広島にはアメリカ軍の基地があるそうで、外国人のファンの姿も多く見かけられた。(そのことを全く知らなかったので非常に驚いた。)この日の1曲目は初日と同じく『Age of Innocence』ではじまったが、2曲目は前2公演では演奏されなかった『Tonight, Tonight 』が披露された。この曲で観客は一気に引き込まれた様子で、座席指定の公演にも関わらずステージ前には人が詰め掛けた。メンバーは、移動の疲れからか少しばかり元気がない様子だったけれど、観客の中にはダイヴする人なんかもいて、それぞれとても楽しんでいるようだった。それから、アコースティックセットではビリーのソロによる『Today』が演奏された。この曲のこのアレンジは広島だから披露されたのかもしれない……なにかあたたかく平和な気持にさせられるステージだった。
ところで、今日の私には指名があった。「みんなのメッセージを書き込んだ、オリジナル団扇をメンバーに渡すこと」である。チャンスを見計らっていたがなかなかタイミングがつかめず、とうとう1回目のアンコールが終わってしまった。…が、しかし、再びのアンコールに応えて『Blank Page』の前奏とともにゆっくりと登場したビリーはギターを持っておらず、しかもステージ前に群がっているファンの所まで近寄って握手をしはじめたのだ。「今がチャンス!」そう思った私は慌ててステージに近寄り、大きく背伸びして団扇を差し出した。ビリーは何かが差し出されている事に気付き、こちらに近寄って団扇を受け取ってくれた。「やったぁ、これでほっと一安心」そう思いながらステージを見つめていると、ビリーはマイクの前に立ちながらも、団扇の表裏を見つめている。そして、メッセージが書かれているのに気付き、そのメッセージをまじまじと読んでくれた。「うれしい」……しかしながら、もちろんブランク・ページの前奏はすでに終わっていて、歌い出しが始っている。ハっ、と我に返った(かのように見えた)ビリーは演奏を中断させ「ミステイク、ミステイク」と団扇をあおぎながらステージをウロウロ。最後に団扇をジェイムスに手渡すと、ジェイムスは団扇でビリーの頭を「ダメ、ダメ」と叩く仕種をして、会場を沸せた。私は「せっかくのよいムードの所を申し訳ないッス」と思いつつも、キュートな仕種を見せてくれた2人に感激した。とても想い出深いステージとなった。
 
   
 
   
  Setlist
01. Age of Innocence
02. Tonight, Tonight
03. Blue Skies Bring Tears
04. Blew Away
05. Stand Inside Your Love
06. The Everlasting Gaze
07. Heavy Metal Machine
08. To Sheila (アコースティック)
09. Today (アコースティック/ビリーソロ)
10. Rock On [David Essex cover]
11. Zero
12. Glass and the Ghost Children
13. Perfect
14. Bullet with Butterfly Wings>>
Once in a Lifetime [Talking Heads cover]
Encore 1:
15. I of the Mourning
Encore 2:
16. Blank Page
17. Cherub Rock

 
     

今公演ではラッキーにもセットリストを手に
入れることができた。(クリックで拡大)

 
  この日のこぼれ話


いつものPumpkins Heads(全部で6人)と地方巡業スタート! 朝9:52の新幹線のぞみで広島に向かった。東京から広島は新幹線といえども5時間の移動距離。どうも体調が悪かった私は、広島駅に着いて草々「申し訳ないけど、みんな先に出て改札の所で待ってて。」といってトイレに行く。トイレはすごく混んでおり、『みんなを待たせて申し訳ないなぁ』と思いながら慌てて外に出ると……私の目の前を見覚えのある団体が横切っていった。な、なんとそこにはパンプキンズメンバー御一行がスタッフとともに歩いているではないか!?先ほどまでの具合の悪さも吹っ飛び、すぐさまビリーに駆け寄り「Hi Billy!!」とおそるおそる声をかけると、ビリーは臆することなく、やさしく微笑んでくれた。私はやっとのことで「あなたの大ファンです!」と言うと、彼はがっしりと握手をしてくれた。そして私の腰に手をまわし、な、なんと改札口までエスコート!!!頭真っ白のまま、彼と改札を出ると、そこで待っていたのは私と同じようにビックリ顔をした友人達だった。友人達もビリーと握手をしたり会話を交わしたりして、思いもよらないハプニングに興奮。一通り握手をし終えると、ビリーは皆に手を振り、駅にあったマクドナルドに入って行った。丁度そこに迎えに来てくれていた広島在住の友人が「あれほんもの?」「ふつうの外人だったね」というくらい、カジュアルでリラックスした様子のビリーだった。→

  その後、我々は観光ということで原爆資料館に向かった。日本人でありながら、原爆資料館に入るのは初めてで、友人には「ライヴ前に見たらテンション下がるよ」と言われたが、せっかく来たのだからと中に入ることに。土曜日の昼間ということで結構見物客がおり、我々も1つ1つ展示品をゆっくり見てまわっていると、なんだか見覚えのある美しい女性がいる…そう、それはメリッサだった。どうやらスタッフと一緒に彼らもココに観光に来たらしい。彼女が展示されているものをじっくりと観察し、写真を撮ったりしている様子を見て「忙しいツアーの移動の最中に、この資料館にわざわざ来るなんて」と、本当に感心してしまった。資料館を出ると、外にはジェイムスがイサオさんとベンチに座りアイス(チョコにナッツのついたチョコボンバーみたいなやつ)を食べていた。その様子は本当に普通の観光客みたいだった。ビリーも遠くの方でビデオカメラ(デジカメかな?)をもって歩いていた。周りの景色を撮影していたのだと思う。(失礼にあたると思い、ココでは彼らに一切声をかけませんでした。)少しの時間だったけれど、とにかくこんな風にリラックスした彼らに遭遇できたのは本当に幸せだった。広島まで来て良かったな。