2025 来日公演レポート

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9月15日(月・祝)名古屋 COMTEC PORTBASE

新しくできたばかりの会場だそうで、清潔で快適。この日はKIKI側の2階最前列で楽しんだため、ステージ全体が見渡せ、かつフロアの観客の様子もよくわかる良席で音響もよかった。ステージ背面にはスクリーン演出などもなく、装飾を含めてとてもシンプルで、アンプ類は全てジミーの周りに固められている感じ。全体的に無機質で、ジミーのドラムセットが要塞のようだった。(ステージ後方の縦に吊されたライトはビリーのソロツアーの時のものと同じかな)

なぜか開演予定時間の5分前に始まったため、最初は客の方が困惑していたが、いきなりのglass’ themeでぶち上がる。この曲はビリーのお気に入りなのかよくプレイされていますね。セットリストはサイアミ、メロン、アドア、マシーナからのヒットチューンに最新作「Aghori Mhori Mei」からEdinやPentagrams、Sighommi、999を挟む構成になっていて、新旧ファン丸ごと楽しみやすいステージに。

ジミーの圧倒的なドラムにジャックの安定したベースライン、ビリーの個性的なヴァーカル、ジェイムズとキキが加わったトリプルギターでステージがガンガン進んでいき、この辺でMCかな?と思ったところで、なぜかビリーが映画トップガンのTake My Breath Awayを歌い上げる歌謡ショーコーナーが始まり、こういうところがPumpkinsっぽいわーとリラックス。
この日のハイライトは、ジェイムズの意味があるようでないMCからビリーのジャズドラマー弄りが始まって、ジミーがジャズっぽい即興をプレイした後にCherub Rockのドラムロールが始まったところ。電流が走ったようになって自分でもびっくりした。すごくかっこよかった。

初日の公演は、自分にとっては単純に曲を楽しむだけでなくいろんな感情を思い出すことになり、不思議な感覚になる時間だった。少し気になったのは、独特のアレンジになっていたのかチューニングの問題なのか不明だけれど、往年の曲(Muzzleなど数曲)でビリーのギターパートに違和感があり、カタルシスを感じきれなかったこと。でもビリーのプレイがどうこうではなくて、バンドの生音をオリジナル音源に寄せていることで生じる違和感なのかもしれないと思った。音響スタッフのコントロールの違いもあると思うので、明日以降の公演で確認したい。

セットリスト
  • Glass’ Theme
  • Heavy Metal Machine
  • Today
  • Bullet with Butterfly Wings
  • Muzzle
  • 1979
  • Edin
  • Pentagrams
  • Take My Breath Away <Berlin cover>
  • Mayonaise
  • Disarm
  • Tonight, Tonight
  • Cherub Rock
  • Sighommi
  • Bodies
  • Porcelina of the Vast Oceans
  • Jellybelly
  • 999
  • Ava Adore
  • Stand Inside Your Love
  • Zero
  • Are You Gonna Go My Way?<Lenny Kravitz触りだけ>
  • The Everlasting Gaze

9月17日(水)日本武道館

本日の公演もKIKI側。アリーナ6列目だから十分前方のブロックだったけれど、スピーカー裏にあたる場所だったので、もともと音響がよいとは言えない武道館ではかなり偏った音だったのだと思う。ジミーのドラムはしっかり聴こえるけれど、メインヴォーカルが聴こえにくい曲があったり、KIKIの音が本当に鳴ってるのかよくわからないなと思うこともあった。だけどそんなの関係ない、素晴らしい公演だったのは本当。

KIKIにはほとんどライトが当たっていなかったけれど、体いっぱいのパフォーマンスからステージを盛り上げようとする意気込みが伝わってきて好感度抜群。今回「ピックを探せ企画」も相まってパンプキンズの紅一点+3人目のギタリストとしての認知度もグッと上がったと思う。それから、バンドの要のベースを2015年から手伝ってくれているJackは、なんだかんだで10年間もバンドのツアーに付き合ってくれているだけあって、自身の個性を活かしながらジミーと共にバンドの屋台骨をしっかりと作り上げてくれていた。彼がピーター・フックの息子さんだと知らなかった方もいらっしゃったようで、今回の公演でその認知が広がってファンが増えたのは嬉しい限り。

ビリーは日本の観客が英詞を歌え(わ)ないことをよく知っているので、諸外国で合唱が起こるBulletの「despite all my rage i am still just a rat in a cage〜」の部分や、Disarmの歌い出しも自分で歌うようにしてくれていた。セットリストは名古屋と同じだったけれど、ほとんどのオーディエンスにとってはこの公演が貴重な1回。バンドも真剣。日本のファンは大人しく見えるけれど、できる限りシンガロングして1曲1曲を大切にじっくりと楽しんでいることは伝わったと思う。
ビリーが丁寧にお辞儀して、日本語で話したいのだけれどわからないから英語で言うけどごめんねって言った後に「新しくファンになってくれた人本当にありがとう」ちょっと茶化して「Old Schoolのみんなもありがとう」と感謝の気持ちを伝えてくれた。ラストのEverlasting Gaze前のお遊びもちょっと長めで、ビリーはもちろん、ジェイムズもジミーも25年ぶりの武道館の舞台を楽しんでいるのがわかった。

それから、名古屋公演で気になったビリーのギター音にはやっぱり同じように違和感があった。他の音がオリジナル音源に寄せてあるから余計にそう感じるのかな、でもきっとこれはこういうアレンジなんだろうね。

私自身も武道館の2階の上の方まで観客でびっしり埋まっているのを見るのはすごく嬉しかった。この大きな日の丸の下で25年ぶりにPumpkinsを見ることに意味がある、そんな武道館公演だった。

セットリスト
  • Glass’ Theme
  • Heavy Metal Machine
  • Today
  • Bullet with Butterfly Wings
  • Muzzle
  • 1979
  • Edin
  • Pentagrams
  • Take My Breath Away <Berlin cover>
  • Mayonaise
  • Disarm
  • Tonight, Tonight
  • Cherub Rock
  • Sighommi
  • Bodies
  • Porcelina of the Vast Oceans
  • Jellybelly
  • 999
  • Ava Adore
  • Stand Inside Your Love
  • Zero
  • Are You Gonna Go My Way?<Lenny Kravitz触りだけ>
  • N.I.B. <Black Sabbath ジェイムズが少し歌った>
  • Paranoid <Black Sabbathさわりだけ>
  • The Everlasting Gaze

9月18日(木)TK Zepp横浜

この日はスタンディングのチケットを持っていて、しかも200番台以内だったから最前ブロックにいけるかなーと思っていたら、物販スペースで偶然Aさんに会って、Aさんがさらに前の番号を持っていたので合流させていただくことに。ビリーとジェイムズ間のほぼ最前で楽しませてもらった!本当にありがとうございました。

ビリーはステージに出てきて1曲目のglass’ themeを弾き始めてずっとニヤニヤ(チケットソールドアウトが嬉しかったんでしょうね)、いつもの凹んだ前歯が見えた。「あーー、ビリーだな」と轟音の中でなぜか静寂を感じた。ステージがすぐそばだったから、ビリーの生弦の音がシャカシャカ聴こえて、「なんか今、自分生きてるな」って思い切り楽しんだ。

Xで「歌詞を覚えていくといいですよー」とポストしていた方が多く、この日の公演ではBulletもempty just like meも we must never be apartもファンの声が出ていて一体感ありあり。ハードな曲は盛り上がるし、メロウな曲では感情が走馬灯のように巡っていく。中でもビリーとジェイムズがマヨネーズで向かい合う姿は感動そのもの。25年前はステージ上でビリーがジェイムズのギタープレイを見張っているように感じることもあったから、今回のツアーでジェイムズがのびのびしていて嬉しかった。

ジェイムズのMCは相変わらず飄々としていたけれど、日本ファン独特の「イハーーー!!!」(苗字呼び)という掛け声にたまらず吹き出し、ステージも会場もすっかり和みモード。彼らも3公演目にして「日本のファンってこうだった!」を思い出してくれたと思う。で、私は毎度毎度Cherub Rockの入りで「すごい、阿吽の呼吸」と思っていたのだけれど、この日はビリーとジェイムズのMCが締まらず、ジミーがうっかりドラムロールを先走ってしまい「あらら」。ジミーは毎回隙のないクールなプレイをしていたからちょっとしたご愛嬌でした。

そうそう、ビリーはAva Adoreで「黒のタオルを頭にかぶって歌う」のを前の2公演でやっていたんだけれど、なんとも謎行為だなーと思っていたら、この日は早々にそれを外して歌ってた。(実は頭の汗拭きタイム?)あんなデカい男なのに、SNSで可愛いと言われてしまうのも仕方がないですね。最前ブロックの熱気で、前の公演で気になってたビリーのギターパートの違和感も感じなくなり、無茶苦茶楽しいあっという間の2時間だった。

セットリスト
  • Glass’ Theme
  • Heavy Metal Machine
  • Today
  • Bullet with Butterfly Wings
  • Muzzle
  • 1979
  • Edin
  • Pentagrams
  • Take My Breath Away <Berlin cover>
  • Mayonaise
  • Disarm
  • Tonight, Tonight
  • Cherub Rock
  • Sighommi
  • Bodies
  • Porcelina of the Vast Oceans
  • Jellybelly
  • 999
  • Ava Adore
  • Stand Inside Your Love
  • Zero
  • Are You Gonna Go My Way?<Lenny Kravitz触りだけ>
  • The Everlasting Gaze

横浜公演の後の大阪2公演、福岡公演、広島公演と全公演に脚を運びたかったのですが、家庭の事情が許さず断念。また近々来日してくれることを願っています!

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