April 19, 2004 @ Chicago Metro

 
 
ビリーの初ソロコンサート、しかも場所はメトロということで、これは何がなんでも行かねばなるまいという自分の気持ちだけでシカゴ行きを決意。旅の準備をしているときはショウが実現するのかどうか本当に不安だったけど、無事にショウを見る事が出来、今改めてホッとしています。
今回は彼のソロがアコースティックライヴになるだろうということ以外、事前情報を全く得ておらず(KENのサイトでの写真とコメントは読んでみたけれど)これまでのものを丸ごとリセットした状態ショウを見ることにした。

少し早めにメトロに着いたのだけれど、既に開場を待つ列が出来ていた。 このチケットはどうやら発売開始後数分で売り切れたようで、まだまだ彼の人気は凄いんだなぁと改めて思った。うろつくダフ屋さんも沢山。ドアオープンが19:00ということで、軽く食事をすることに決め、メトロの近くのマクドナルドへ。19時30分頃に再び会場に向かうとだいぶ入場に手間取っている様子でまだまだ長い列が続いていた。仕方がないので列に並び、ボディチェックも済ませ、やっとこ中に入ると案の定、メトロは満員御礼状態。私の判断が悪く、列に並ぶのが遅かったせいでどこもかしこも人の山。ステージを上手く見られる場所が見つからず、最終的に1階の後方で、人の頭の隙間からの観戦となった。

ステージセンターには、ビリーが座る為の赤っぽいベルベットのアンティークの椅子が置かれ、その左右にランプやパンダのぬいぐるみや鳥かごといったいろんな小物が飾られていた。2階からちらっと覗いただけなのでよくわからなかったけど、ステージ一面には丸型で抜かれた銀とか白のコースター大のものが沢山ちりばめられていたようだ。また、メトロは一般的な日本のライヴハウスと違って、内装も独特なのでそのステージセットと会場そのものがおそろしくマッチしていて、 どちらかというとこれからコンサートをやるというよりも、特別な儀式をやる(受ける)そんな印象だった。
開演を30分位押したところで突然ステージ後方の暗幕に転々とライトが点灯し、オーディエンスからは感激のため息がもれた。会場はより厳かな雰囲気になったが、しかしみんなビリーの登場を今か今かと心待ちにしていて、拍手や大きな声援が飛ぶ。星空のような視覚イメージが彼の登場の合図なのだろう、バンドの時と違ってSEはない。ほどなくしてビリーがステージに登場。黒いシャツに濃いめのブルーデニムジーンズと特別な衣装を身に着けている訳ではなく、なんとなく帽子をかぶって出てくるだろうと思っていけど、それもなかった。それはただいつものビリーだった。
 
 
小冊子(拡大
おそらくほとんどの人が彼のソロを初めて聴くことになる訳で、その為かオーディエンスには、入場の際に彼のNOTEを印刷したちょっとした小冊子が1冊づつ配られていた。パソコンで打たれた彼の詩に手書きで修正が入っていたりして、シンプルだがとても暖かい印象の物だ。この日はこの中に記載されている曲と少し、合わせて15曲が演奏されていった。

ビリーがゆっくり椅子に座ると、それまでざわめいていた会場が静まり返り、1曲目の"the world's fair"がスタート。それはとても静かで美しいメロディで、ビリーの呼吸が感じられるすばらしい曲だった。そしてビリーってこんなにやさしい声だったかなぁと知らないシンガーを見ているような気にもなった。曲が終わると"Thank you."と一言。でも彼のMCの音声は歌の時と全くちがって、ボイスチェンジャーで低く変えられていた為、オーディエンスからは笑いが起こり、リラックスムードが広がった。
ギターがチェンジがあり2曲目の"black irish"へ。この曲の歌詞にはEMILYという女性の名前が出てきて、『I CAN'T LEAVE』という歌詞が出てくるちょっと切ない曲で、タイトルは彼女を象徴した物なのかな?黒髪の女性なのかな?そんな風に思いながら聴いた。(右の欄へつづく→)
 
    3曲目の"black sox" に入る前に、今日のカブス(野球チーム)の試合についての話を始めるビリー。この日はメトロの近くにあるカブス球場でデイゲームがあったそうで、その結果に満足している様子。会場にもカブスファンが大勢いて盛り上がっていた。よく聞き取れなかったんだけれど、なにかに絡ませてパホに関するちょっとした皮肉も言っていて、そちらもオーディエンスに受けていた。(ちょっぴり複雑な自分)また、この曲にはオーディエンスが一緒に歌える箇所があって、ビリーは「練習しましょう」と言って見本をみせ、その部分をみんなに数回練習させた。「"あうー"じゃなくて"あうん"だよ」とビリー(ネイティブでない私では正確にはなんと歌っていたのか不明)。シカゴには2つ球団があるのだけれど、1つは前述のシカゴカブスでもう一つがホワイトソックス。(野球は疎いんだけれど、このチームには日本の高津という投手が入ったそうですね。)で、この曲をホワイトソックスに捧げますと言って演奏を始めた。これはほんわかととてもHappyな気分になれる曲で、しかもオーディエンスが余りに素直に嬉しそうにそこを歌うものだから独りでニヤニヤしてしまった。(私は勇気がなくて歌えなかった。ダメだな日本人気質は。)みんな正しい生徒のようで、こうやって純粋に参加できるアメリカの人たちをうらやましく思ってしまった。ビリーも頭を左右にゆっくり揺らしながらゆったりと気持ちよさそうに歌っていた。
今回のショウでは曲毎にギターチェンジがあって、2本か3本のギターを交換しながら演奏しているようだ。そして僕のガールフレンドへの歌だよ(と言ってたと思う)と"friends as lovers"を披露した。Zwanの曲(?)もやってくれるんだなぁと思って、なんだかたった1年前のことなのに懐かしいような気持ちになりながらその美しいイントロを聴いていると、なにかを間違えたようで演奏が一端ストップ。すぐにやり直すとみんなもうっとりと聴き入っていた。バンドの時と違って、ほんとにギター1本だからビリーの声がより優しく聴こえる。続いて披露されたのが"say goodbye"。曲に入る前に「ドイツや日本から見に来てくれてありがとう」と言ったのだが、それを聴いたシカゴの客が「俺らは?」とブーイング。こうやってファンとのコミュニュケーションを取りながら楽しくステージを進めて行く。この詩の中にも『I CAN'T LEAVE』というメッセージが出てくる。個人的にとても好きになった曲で、帰りの飛行機の中で改めて詩を読んだ時に、いろんな想いが巡ってきて泣きそうになってしまった。
"prairie song"から続く"bobby franks"の演奏に入る前に、 ビリーがローディーに手前にあった別のマイクの位置を修正させたのでなんだろう?と思っていると、彼が1人の人物を紹介した。登場したのはメキシコ出身のインディアンの縦笛の演奏者。ビリーのサウンドにインディアンのトラディショナルなサウンドが混ざった事で、とても個性的な曲になっていた。演奏が終わり、彼に感謝の言葉を述べHugをした。彼が去った後には再びオーディエンスとの楽しいやりとり---話す度に「1967年に生まれた」をリピートみたいな感じの---そして、ビリーはパンプキンズが解散する少し前から、この3年半位の間に書き溜めていた自分の曲を今日こうして披露出来ることをとても感謝していると語った。そうやって披露されたのが"white lights"。この曲はブルース調の曲だった。シカゴはブルースの街と言われている。彼が新しい船出をする場所がやはりこのシカゴであるということを私も嬉しく思った。自分は人の頭の隙間からビリーの顔を覗くのがやっとで、彼のプレイを見る事はなかなか難しかったけれど、姿は見えずとも彼がとても丁寧に1曲1曲を披露してくれているのが手に取るようにわかった。
オーディエンスとのやり取りをしながら『デートの曲だ』と言っていたと思うのだけど(正確にはハングアウトと言っていたが、ビリーが仲間とつるんでどこかに行くというのが想像できないので、自分の中でデートという解釈にしてみます。)そうして披露されたのが"riverview"これもZWANの時の曲だが、バンドで聴くのとではまた違った印象だった。そしてビリーが自分のお気に入りの曲だよと紹介して演奏されたのが"white city"これもシカゴの事を歌った曲。とにかくシカゴとビリーは切っても切り離せないものなんだよね。そして"el-a-noy"を挟んで本編は"Columbus"で終了した。(右の欄へつづく→)
     
ビリーがステージをはけると観客は一斉にアンコール。ほどなくしてビリーがメトロのオーナーJoe Shanahanとともに再びステージに現われ、観客にジョーを紹介し感謝の言葉を述べた。また今日は客席に旧バンド仲間のジミーも来ていたようで、ステージから2階の客席に向かって彼を讃え紹介した。ジミーはビリーのソロ作に協力してくれるそうで、これを聴くとオーディエンスも大いに喜んだ。そして"Bad Driver"を演奏すると再びステージを去った。
2度目のアンコールに応え、ビリーがステージに再々登場。ZWANでも演奏した"For Your Love"を披露してくれたがこれはなんだか中途半端に終わらせてしまい、最後にはもらった小冊子に記載されていない曲を演奏してこの日のショウは終了した。

アコースティックライヴでは曲がとてもシンプルに伝わるが、その為ビリーの楽曲の素晴らしさが引き立つ結果になったと思う。またシンプルな分、彼の最大の武器である(と私は思っている)詩や独特のボーカルが前面に出てきていた。ただ、残念な事に、いくら歌詞カードがあっても、私は英語が堪能でないから歌詞をダイレクトに理解できなかったので、それがとても残念だった。(シカゴのオーディエンスの満足度を100%とすると自分のは60%くらいになっちゃうかもしれない。とにかく残念。日本人にとって高いハードルになりそうだ)それから、レポートの前半にステージのイメージについて詳しく記載した(つもり)のだが、これには理由があって…というのは、このビリーのソロショウというのは視覚と聴覚、そして見えて聴こえる物だけでなくて---そこの空気感だとか---とにかく多面的に彼を体感することが可能なもので、そういう雰囲気をより詳しく伝えたかったからだ。これからの彼のショウはこんなふうに、ただ単に彼の音楽を楽しみに行くと言うだけじゃなくって、いろんな視点で楽しめる物になるんだと思う。彼をもっと好きになりに行く、そんな感じのものになるんじゃないかと思った。
アルバムの制作は順調に進んでいるようだが、ビリーのソロはまだまだ未知数だと思う。どんな風になっていくのか本当に楽しみだ。あ、1個お願いがあるんだけど、できれば座ってみたいな。

 
   
 
Setlist
The World's Fair
Black Irish
Black Sox
Friends As Lovers
Say Goodbye
Prairie Song
Bobby Franks
White Lights
Riverview
White City
El-A-Noy
Columbus
---Encore---
Bad Driver
For Your Love
Matthew Selah
 
     

 
  こぼれ話

ラッキーなことにショウの後にビリーにあうことができた。少し痩せたかなぁとも思ったけれど、でも表情はとても穏やかだった。あまり時間がなくて、目の前で中を見てもらうことは出来なかったけれど、みんなの誕生日メッセージをまとめたアルバムと猫のおもちゃを、1カ月遅れの誕生日のお祝として手渡した。彼はニコニコと「ありがとう」と言って受け取ってくれた。たぶんきっとお家に帰って読んでもらえたことと思います。素敵なショウをありがとう。
 
 

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