October 30, 2000 @Glasgow-ESCC

 
 
 
↑SECCのホール前
UK公演の初日である。SECCはグラスゴーの中心「セントラル駅」から2つ目の「セキシビジョンセンター駅」を降りた所にあり、日本でいうと幕張メッセみたいな所だった。スコットランドの古い街並とは正反対の近代的な建物で、周辺も綺麗に整備されている。会場全体に暖房が効いており、中に入るととても暖かかった。10月末でもスコットランドの気温は日本の真冬並。私達は建物の中でもモコモコと長そでを着込んでいたが、スコットランドのパンプキンヘッズ達はみな半そでだった。( そういえば街中でもまだコートを着てる人なんていなかったな。)そんなこんなで開場を待っていると前座バンドがあるという情報。「キャサリン・ホィール」というバンドで、イギリスではそれなりに人気があるらしい。彼等の演奏が終わり、8時半頃になってやっとパンプキンズが登場した。会場の丁度真ん中あたりにいたのだが、床が真っ平らのスタンディングだった為、体の大きい西洋人に囲まれるとステージがほとんど見えなくなってしまった。もう少し後ろに下がり、中央を見上げると、白い衣裳(日本公演で着ていたものと色違い)に身を包んだビリーが立っていた。ジェイムス、メリッサも白い衣裳。ジミ−は例のごとく黒のベスト姿だった。日本公演との大きな違いは、ステージ後方にピアノのマイク・ガーソン氏、キーボードのクリスが加わっていたこと。この2人が参加したことで、日本で披露されたステージとは趣の異なる、幅の広いショウとなっていた。
1曲目は『Glass and the Ghost Children』。アコースティックギターでの演奏でとても素敵だった。会場のつくりが良いのか音もすばらしく、ため息がでるくらいだった。そのままアコギで演奏された『today』『33』では会場が大いにわいて、大合唱。イギリス人は歌うのが好きだと聞いていたが本当だった。彼等は体を動かしてリズムをとったりすることは少なく、ただ真直ぐ立って、じーっとステージをみて、でも大声で歌っているという具合だった。美しい印象のアコギセットの最後には『Blue Skies Bring Tears』が披露されたのだが、この曲でビリーはギターを弾かず、タンバリンを叩きながら歌うという、意外なパフォーマンスを見せた。とても楽しそうだった。また、曲の終盤にはフロントメンバー3人がステージからはけ、ジミーのドラムソロに入るという構成になっていた。イギリスではジミーの人気がとても高いらしく、「ジミー!」という声援があちこちで飛び交っている。力強いドラムソロが終え、彼もステージを去っていった。

再びメンバーがステ−ジに登場。今度はビリーの衣裳が黒に変わっている。「そういえばマシーナ2のサブタイトルは『 the friends and enemies of modern music』だっけ・・・白い雫と黒い炎のキャラクターがいたよな。白ビリーが雫(友達)で黒ビリーが炎(敵)?」なんて思いながらステージを見ていたのだが、実際の所はどんな意味があったのだろう。
スポットライトがあたり、ビリーが激しくエレキギター弾き始めた。セカンドセット1曲目は『Glass' Theme』。ノリのよいこの曲で演奏の方は一気に盛り上がったのだが、それとは裏腹に会場の殆どの客がきょとんとしていたのがおかしかった。どうやらこちらでは『マシーナ2』は殆ど知られていないようだ。続く『The Everlasting Gaze』ではそれなりの盛り上がりを見せたが、こちらもわりとおとなしめ。全世界で爆発的に売れた『Bullet with Butterfly Wings』になってやっと本領発揮という感じだった。イギリスはアルバムよりもシングルの売上が重要視されるようで、この盛り上がりの違いを見て改めてそれを実感した。しかし、おっとりした会場の雰囲気にも関わらず、ステージの彼等は本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれていた。エネルギーが満ちあふれているという感じだった。日本公演でも披露された『Rock On』も新しいアレンジになっており、そのまま続く『Heavy Metal Machine』ではキーボーディスト・クリスによる「ヘビメター、ヘビメタマシーン」というコールが加わっていて、演出の面においても非常に新鮮だった。長いヨーロッパツアーのラストということで、疲労が重なっているのではないかと思ったが、とにかくバンドの状態は最高の様子。明日からの公演もとても楽しみだ。
 
   
 
   
  Setlist
Set 1:
01. Glass and the Ghost Children
02. Today
03. Thirty-three
04. Stand Inside Your Love
05. To Sheila
06. Blue Skies Bring Tears
Set 2:
07. Glass' Theme
08. The Everlasting Gaze
09. Bullet with Butterfly Wings
10. Dross
11. Speed Kills
12. Cash Car Star
13. Rock On [David Essex cover] >>
Heavy Metal Machine
14. If There Is a God
15. Disarm
16. Try, Try, Try
17. Tonight, Tonight
18. Porcelina of the Vast Oceans
Encore:
19. Cherub Rock
20. Ava Adore
 
     




 
  この日のこぼれ話

会場に着くと特にすることもないので建物の周りをウロウロ。建物の裏側にまわってみると大きな扉の隙間からリハーサルの音が聴こえてきた。多分ローディが曲を演奏し、チューニングをしていたのだと思う。歌は聴こえなかった。ふとみると、男の子2人と女の子1人がちょこんと座っている。彼等はこの日はじめてパンプキンズを見るのだそうで、どうしてもサインが欲しくてそこでじっと待っていたのだそうだ。彼等と話をしていると男の子の一人がしきりに「スコットランドはフリーダムの国だ!」と言っていた。昨日の日記に書いた通り、若者の間にもやはりイングランドとの対立意識が残っているようだ。でもって私達にはその根深い対抗意識を理解するのは到底無理だが、音楽の話は別だった。彼等はうれしそうに「オアシスはダメだ」とかなんとか(笑)とにかく、こんな風に遠く離れた国の子達とも共通の話題がもてるなんてうれしいな、とつくづく思った。→
  あたりがすっかり暗くなり、だいぶ寒くなってきたので会場に戻ろうとすると、そこに大型バス(本当にデカイ2階建てのバス)が2台到着した。様子を伺っていると、驚いたことにそのバスはそのまま建物の中に入っていった。どうやらメンバーの乗っていたツアーバスだったようだ。スコットランドの女の子は「お金持ちなのね…」と寂しそうに言い残し去っていった。日本では鉄道・ダイヤがしっかりしている為、メンバーは新幹線で移動をすることが多いし、治安の面でも比較的安全と考えられている為、ファンが彼等と接触する機会をもつことも可能であるが、海外ではなかなかそれが難しいようだ。会場に入る際の荷物チェックにしても、日本の「カメラ・テープレコーダーの持ち込み」に重点をおいたチェックと違い、こちらでは「銃・ナイフ・チェーン」のような、アーティストに危険をおよぼす物を携帯していないかに重点をおき調べているのだった。(たいていの会場でカメラは場内に持ち込んでも注意されない。また演奏中にアーティストさえ撮影しなければ、場内で記念撮影していたとしても特に注意されることはない。)