July 02, 2000 @東京国際フォーラム

 
 
来日ツアー前に「お別れのキスをしに来たんだ」と語ったビリー。今日のショウはまさにその約束を果たしたというような内容だった。開演前のアナウンスでこの日の公演が2部構成であることが発表され、場内に歓声がおこる。
少し開演が遅れてはじまった第1部は、ビリーがただひとり、アコギを持ってステージに現われた。1曲目は『Speed Kills』という意外な選曲ではじまる。この曲はマシーナのシングル「stand inside your love」のBサイドに収録されている曲で、どちらかというと印象が薄かったのだが、あまりの素晴らしさに聴き惚れてしまった。そのまま『Today』『Muzzle』とアコ−スティックセットでありながら大きな歓声あがる曲が続く。そして「ボクのお気に入りの曲です」と言って『Once Upon a Time』がはじまった。この曲は前回のアドア公演でもお気に入りの曲だと紹介されており、ビリーにとってとても思い入れの深い曲であるらしい。本当にすてきな曲だ。ビリーの声とギターの音がとてもやさしく、心地よかった。
その後、ステージにジェイムスが登場し、「To Sheila〜Shame〜Drown〜To Sheila」と続く絶妙なメドレーを披露。今回の公演では同じ曲でもこんなふうにアレンジが変わる為、最後まで飽きさせられることがなかった。さらにリズム隊の2人も登場して『Glass and the Ghost Children』、『This Time』、『Stand Inside Your Love』が続けて演奏される。しかし、ここでシリアスムードが一転、メリッサがなにか間違えたらしく、ビリーは彼女とと顔を見合わせて「too much アルコール!too much 酒!too much カラオケ!」と言って笑ってしまう。メリッサもすかさず返答していたが、なんともほんわかムード満載でステージは進行されていった。そして、第一部ラストの曲は『Disarm』。心の奥にしみこんでくるような演奏だった。
ここで一端メンバーはステージをはけ、15分ほどの休憩を間に挟んで、第2部がはじまった。第2部はエレクトリックセットになっていて、のっけから『The Everlasting Gaze』とパワー全快。会場も一気に盛り上がり、続けざまに曲が披露されていく。オリジナルメンバーによる力強いドラムと、ハードなギターに一生懸命ついていこうとしているメリッサがとても印象的だった。
「パンプキンズは解散してしまうけれど、心の中には残るんだ」とビリーが言った。言葉の通じない我々の為に、身ぶり手ぶりを交えて、一言一言丁寧に。 観客からのとりあえず「イェーイ!」の返事は私を悲しい気持にさせたが、会場に漂っていた「ありがとう」の空気は確実に彼らに伝わったと思う。 最後に『1979』が披露され、キラキラと温かい雰囲気の中、ステージは終了した。
ビリーは最後の最後までステ−ジに残ってファンと握手をし、手を振り続けた。もしかしたらこの時もまだ「解散」について思い悩んでいたかもしれないなと思う。この来日ツアーでは、かつてのパンプキンズの切れそうなくらい張り詰めた、とてつもなく勢いのあるステージを感じ取ることはできなかったのは事実だが、どこの公演を思い出してみても、素敵なステージをありがとうと思わずにはいられなかった。そして、いつでも自分のことで悩み、苦しんでいるビリーのことが前よりもっと好きになった。「さよなら」と「ありがとう」と、そして「これからもよろしく」私はこれからもスマッシング・パンプキンズのことを大切に思って生きていくのだ。
 
   
 
   
  Setlist
第1部:
01. Speed Kills
02. Today
03. Muzzle
04. Once Upon a Time
05. The Imploding Voice
06. To Sheila > Shame > Drown
> To Sheila
(メドレー)
07. Glass and the Ghost Children
08. This Time
09. Stand Inside Your Love
10. Disarm

第2部:
11. The Everlasting Gaze
12. Heavy Metal Machine
13. Blue Skies Bring Tears
14. I Am One
15. Raindrops + Sunshowers
16. Blew Away
17. Tonight, Tonight
18. I of the Mourning
19. Bullet with Butterfly Wings >>
Once in a Lifetime [Talking Heads cover]
Encore 1:
20. Perfect
21. Cherub Rock
Encore 2:
22. 1979
 
     

セカンドセットのセットリスト(クリックで拡大)

 
  この日のこぼれ話


ショウの最中に出てきたメリッサとビリーのやり取りだけれど、前日がオフだった為、メンバー達はずいぶん東京の夜を堪能した模様。
ところで、友人が第2部のセットリストを入手してくれた為、意外なことがわかった。予定ではアンコールの『1979』の後に『Maynaise』をやる予定だったようだ。→

  なぜこの曲をやらなかったのか結局のところはわからないが、時間が押したからという単純な理由からだけでなく、『Mayonaise』でしんみり終わるよりも『1979』をメンバーそろって演奏し、明るい光の中でファンの表情を見ながら終演を迎えたいという気持からだったとしたらとても嬉しいと思う。