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■日本公演後記
ビリー・コーガンさえいれば、The Smashing Pumpkinsなのか?と聞かれたら、答えはNo。だってそれまでに積み重ねて来た歴史があってのPumpkinsだから。でも、じゃあ今のバンドはPumpkinsとは言えないのか?と聞かれたら、それも答えはNo。コレから作られる歴史もある。
The Smashing PumpkinsがSUMMERSONIC2010に出演するという発表があった時に、「来日が3年遅れた」とは思ったが、再結成からの3年間・特に2008年後半からの不安定なバンド状況を知らないまま、「今」のビリー・コーガンと新しいバンドメイトをそのまま新生Pumpkinsとして日本に迎え入れられたのは、長いこと来日を待っていたファンにとっては良いことだったのかもしれない。「せめてオリジナルメンバーのジミーがいるうちに一度来てくれていれば」なんて声があったのも事実だけれど、ビリーはずっとバンドのあり方に悩んで苦しんでいて、ネガティヴになっていたのも事実で、でも日本のファンはこの時期をまるっとすっ飛ばして、今の形態のバンドを新生Pumpkinsとしてありのまま受けとめることができた訳で。
再結成当時のビリーは「他の再結成バンドと自分たちは違うのだ」という所にとても固執していて(それは今でもそうなんだけれど)故に、過去の曲をプレイすることにあまり良い印象を持っていないようだった。実際、自分が見た再結成直後のサンフランシスコ公演でも往年の曲はアレンジがちょっと暗めだったり、まだ未発表の楽曲に多く比重が置かれている構成になっていた。2008年のバンド20周年記念ツアー当時には「もう古い曲はやらない」「ファンが悪い」などと発言したりと、ファンとの関係までも疑うようになる始末。明けて2009年3月20日には唯一のオリジナルメンバーであったジミーが脱退し、さらに同年4月にはベーシストのジンジャー・プーリーが妊娠・出産でバンドをやめざるを得なくなった。また諸々の理由が重なってキーボーディストのリサ・ハリントンも解雇。再結成後にビリーが作り上げて来たPumpkinsはここで一度崩壊してしまった。彼にとっては試練の時となった訳だけれど、正式メンバーとしてバンドに迎えていた訳ではなかったらしいジェフ・シュローダー(ギター)とジンジャーのことも含めて、ビリーが改めてここでバンドを立て直す必然に立たされたことは結果として良かったのではないかと今回のステージを見てしみじみ思った。
ジミーが脱退したことは自分にとっても本当に残念なことだったけれど、ビリーがジミーとは見ている未来が違うと解ってしまってから、それでも彼とバンドを続けることはやはり難しかっただろうから、彼の脱退はあらゆることを考え、理解し判断した上の苦渋の決断で、それはやっぱり正解だったんだなと思う。脱退後に多くを語らず、ただ「ビリーにはPumpkinsを名乗る権利がある」と言ってくれたジミーには本当に感謝したい。
ジェフの続投の意思を確認したビリーは、彼とともにバンドの核となるドラマーのオーディションを行った。オーディションを見事勝ち抜き、2009年9月に新生Pumpkinsのドラマーとなったマイク・バーン(現在20歳)は当時19歳のマクドナルドの店員だったそうだ。その彼がThe Smashing Pumpkinsというバンドを通していろんなことを吸収し、メキメキと成長して行く様はビリーにとってもうれしい物だったに違いない。そして今年5月にはベーシストのニコール(現在31歳)も正式加入し、バンドは再び息を吹き返した。ビリーはこの新しいメンバー達と一緒に、新しい明るいアレンジで昔の曲をやってみたいと考えるようになったそうで、バンドを立ち上げたばかりの頃のような感情が芽生え、新たな活力が生まれているらしい。マイクのイノセントな存在が、ビリーにバンドの未来を見させているのかな?とにかく、バンドが良い状態にあるのは間違いない。
実は、実際自分もマイクに逢ってみて、 彼のキュートなルックスと人なつっこさにすっかり魅了されてしまった。20歳のアメリカの若者でドラマーというイメージだけで、相当大柄な人物を想像していたのだけれど、逢ってみたら170cmあるかないか位の小柄な童顔の若者だったのには本当に驚いた。そしてとても前向き。例えば、コースト1日目のステージは、時々メンバー間のからみが上手く行かない所も見えたので、ざぞやマイキーとニコールは落ち込んでいるだろうと思ったのだけれど、楽屋では楽しそうに過ごしていて、「たのしいショウをありがとう」と言ったら『ありがとう、でも僕らまだまだ練習して頑張らないといけないんだよね』ってニコニコ2人一緒にうなづきながら気さくに対応してくれた。ジミーのあとを引き継ぐって、いろんな意味で凄いエネルギーがいるだろうから、この若さと、なんでも吸収して上達して行こうという彼の素直な、無垢な部分は、新生Pumpkinsに絶対必要なものだと思った。
それから、ジェフは見た目通りとってもマイペースだったけど、ちょっとした移動の際に、ビリーの体にボディタッチしたりして、そういう自然な仕草に私はちょっと感激してしまった。とにかくバンド仲は本当に円満。今後の活動が本当に楽しみです!
■The Smashing Pumpkinsメモ
●今後の展開としては、アジアでの活動にかなり力を入れて行くとの談
●来年(2011年)の3月頃にまた来日したい!ので計画中
●ビリーはツイッターの、フォロワーからの@Billyのリプライの所はほとんど見ていないそう。理由は悪口ばっかりで嫌だから。←ちょっとカワイイ
Special Thanks to ; The Smashing Pumpkins,
Shuri, Kyoko-U, Yumiko, Kiku, Eric, Hiromi, Kyoko-T, Sanno !!
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