July 28, 2001 @Naeba Fuji Rock Festival 2001

 
 

バラバラになっていた友人達と連絡を取り合い、ビリーの立つステージ左サイドに陣取る。(結局演奏が始まった途端にバラバラになっちゃったけど)始まるまですごく長く感じて、なんだか意味もなく緊張して手足が冷えてしまっていた。「New Order」のファンは前回の来日から実に14年も待たされたわけで、その緊張感&期待感に感染してしまったのかもしれない。
照明が落ち、メンバーが登場するとステ−ジ前は、前に押す人やこちら側に移動してくる人で混雑した。自分の体勢を立て直しつつステージを見上げると、そこには本当にビリーが立っていた。ビリーは照れているのかとにかく帽子を深くかぶっており、黒い長そでシャツの上にグレーっぱい半そでのTシャツを重ね着し、黒いパンツをはいていた。ちょっと痩せたのかな、と思った。
ボーカルのバーニーは沢山の人の頭に驚いていたようだった。14年前の日本公演に比べると信じられない光景だっただろうな、当時の日本ではスタンディングなんてゆるされなかったハズなのだから。
とにかくステージ前はゴタゴタで1曲目はマトモに聴けないまま気づいたら終わってしまった。次に演奏されたのがNewシングルの『Crystal』。この曲好きです、ハイ。が、しかし、やっぱりみんなも「おぉ〜」ってな具合に盛り上がるので、体勢が保てなくなり少し後ろに下がることにした。この曲のビデオクリップってバ−ニーじゃなくって別の若い男性が出演しているのだけれど、知らない人が見たらその若い彼が、Crystalを歌っている本人に見えてしまうに違いない。それくらいバーニーの声は若くて、透明感があると思う。ただ、実際のステージでは、打ちこみの音が大きいせいもあって、彼の声がよく聴こえなかったりした。ビリーのギターも調子が悪いらしくて、よく聴こえない。彼は脇にいってみたりとウロウロ落ち着かない様子だった。続いて、またまた私の好きな曲である『Regret』が演奏された。今だにラジオでもよくかかる曲なのだが、前奏部分はアレンジが変わっていたようで、テンポもゆっくりめで、新鮮だった。MCが入る。歳をとって太ってどっしりとしたバーニーはとにかくご機嫌の様子だった。
その後、3曲程披露されたところでバーニーがビリーの紹介をしてくれた。ビリーはテレながらも帽子を少しあげて、挨拶をした。一緒にステージに立ててとてもうれしそうだ。八重歯が見えた。もう少ししゃべろうとしたところでバーニーに遮られたような形になってしまったが、そこでニューアルバムに納められているビリーの作った曲、『turn my way』が披露された。この曲はすでにネットで聴くことが可能になっている。なかなかよい曲で、ビリーの声がいい感じに曲に溶け込んでいる。今回のステージでは新作のイメージにあわせようとしてビリーのコーラス部分を押さえめにしたかったのか、単にマイクのトラブルだったのかわからないけれど、音が凄く絞られて小さくなっていた。その為、ビリーは自分の声が聴こえにくかったらしく、歌いづらそうに片耳をおさえながら歌っていた。控えめにサポートに徹しているビリーを見るのは初めてだったので、とても不思議な感じだった。フロントマンじゃない彼はいつもよりひと回り小さく見えた。
曲がつぎつぎと披露されていく。バーニーは息がつづかないのか、ときどき声が出ていなかったりしたが、アンコールでは跳ねて踊ったりして、とても楽しんでいるようだった。やりとりがよく聴こえなかったのだけれど、お客に向かって「この曲はギターを弾くのが難しい」というようなことを言っていた。そんなやりとりをニコニこして聞いているビリーは、共演者でありながら半分客のようでもあり、ギターを弾かない時は手をたたいたり、とにかく嬉しそうだった。彼は最後の最後にやっと帽子をとって挨拶した。ステ−ジを去る時、ベーシストのフッキーと抱き合っていた姿も印象的だった。
Pumpkins解散後、しばらく休憩すると言っていたビリー。でも、こんな風に他のアーティストと活動をし、来日してくれるのはとてもうれしい。ステージの上にいる彼を見ていると、すこし素顔に触れたような気分になるからだ。けれども、やっぱりビリーが、自分自身の活動の為に作った曲を早く聴きたいと思う自分もいる。とにかくこれからも彼を見守っていきたいと思う。

 
   
 
   
  Setlist
Atomosphere
Crystal
Regret
Love Vigilantes
Isolation
Your Silent Face
Slow Jam
Turn My Way
Bizzare Love Triangle
Close Range
Touched by the Hand of God
True Faith
Temptation
Love Will Tear Us Apart
Ruined in a Day
'60 Miles An Hour
Blue Monday
 
     

 
  こぼれ話

ショウの翌日に少し話を聴く事ができたのだけれど、「Pumpkinsはなくなってしまったけれど、僕は音楽活動をやめてしまった訳ではなく、新しいことをしようとしているから待っててくれるよね?」と、その言葉を自分自身にも言い聞かせるように、言葉を選んで、丁寧に話そうとするビリーは、今でも時々Pumpkinsのことで思い悩んでいるのかなと思った。でも、そんなふうに思い悩みながらも、前進しようとしている彼がつくり出すものが「つまらない」訳がない。Pumpkinsじゃなくなっても、まだまだビリーは魅力的だもの。これからの活動がとにかく楽しみです。